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ビジネス・実用書における「面白くない」は

①当たり前のことを言っている
②抽象的でもやもや。具体的でない

この2つです。では、「前向きに書き直してもらう」にはどうすればいいか。

①当たり前のことを言っている場合
本のコンセプトに沿って構成案をしっかり詰めれば、かなり減らせます。とはいえゼロにするのは難しいです。対応としては、

・「コンセプトに合わせて、○○を△△のように書き直してください」と具体的にお願いする。

・改善の余地がないときは「企画のコンセプトから外れているので、カットさせてください」とストレートに伝える

この2つが基本です。コンセプトに沿っているか、届けたい読者の役に立つかを論点にします。

②抽象的でもやもや。具体的でない場合
著者の筆力に左右されるところが多く、ゼロにはできません。これは1つ1つ著者に確認するしかありません。本のテーマによって変わりますが、

・具体的なエピソードを聞く
・具体的な方法論(メソッド、テクニック)を聞く
・具体的な数字(実績)を聞く

この3つでだいたいカバーできます。

さて、その逆に絶対やってはいけないことがあります。

・「自分でやったほうが早い」と、編集者が強引にリライトする。

「自分でやったほうが早い」という誘惑にもかられるでしょう。〆切が迫っている状況だとなおさらです。でも、グッと我慢です。時間がないなら、「恐縮ですが、この期日でお願いします」とストレートに伝えるしかありません。

編集者の仕事は、コンテンツを作ることではありません。この仕事を14年続けてきて思うのは、「リライト」の限界です。

編集者がリライトをがんばっても、「著者の何気ないひと言」には絶対勝てません。読者にも必ず見抜かれます。「面白くない」「心惹かれるものがない」と感じる原稿なら、編集者がどう手を加えたところで徒労に終わります。

著者の「言葉」をどう引き出すか。それをどう料理し、世に広めるか。編集者の仕事は、突き詰めればここに行きつきます。