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 「このタイトルで大丈夫か?」
 「カバー、もっと派手にしたほうがいいかも、、、」
 「見出しを面白くできないかな」

 仕事に詰まったとき、私は必ずチェックリストを見るようにしています。チェック項目は全部で7つあります。

(1)読者にとっての価値は何か?
(2)具体的か?
(3)シンプルか?
(4)意外性があるか?
(5)信頼性があるか?
(6)独自か?
(7)物語があるか?

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(デスクのパーテーション部分にとめています)

 このチェックリストは、『アイデアのちから』(チップ・ハース/ダン・ハース著、日経BP社刊、2008年11月刊行)という書籍で紹介されている「SUCCESsの法則」を参考に作りました。そのため、チェックリスト自体に新規性はなく、価値もほぼありません。

 しかし、「なぜこのチェックリストを使っているのか」を整理することには意味があると思いました。なぜなら、このチェックリストを使い始めたのはもう5年以上前だからです。さっそく整理してみます。

(1)読者にとっての価値は何か?
 迷ったら、まずここに立ち戻るようにしています。「読者の問題解決に役立つか」「読者に感動を与えられるか」「読者を面白がらせられるか」。こうした観点から徹底的にチェックします。

(2)具体的か?
 ビジネス・実用書は「懇切丁寧で、読者のかゆいところに手が届く」べきだと考えています。とにかく具体的にすべきです。抽象度の高い表現・書き方になっていないかをチェックします。抽象的であればあるほど、「読者に考えさせる」ことになります。それはビジネス・実用書の本質を損なうものです。

(3)シンプルか?
 著者、編集者ともに、情報の「足し算」をしがちです。大切なのは「引き算」。タイトル、帯コピー、見出し、本文をよりシャープにしなければいけません。余計な情報はないか、削れるところはないかをチェックします。

(4)意外性があるか?
「えっ⁉ 本当に?」「それってどういうこと?」という新鮮な驚きを与えられているかをチェックします。「読者は常に新しいもの、面白いものを求めている」。これはある書店員さんの言葉ですが、本当にそう思います。

(5)信頼性があるか?
 モノや情報があふれる時代です。「失敗したくない」「いいものが欲しい」といった感情は、今後より高まっていくでしょう。書籍における信頼性のカギは、企画コンセプトと著者プロフィールの整合性だと考えています。「この著者の話をもっと聞いてみたい」。そんな信頼性が生まれているかをチェックします。

(6)独自か?
 その著者でなければ語ることのできない、オリジナリティーのあるコンテンツになっているかをチェックします。売れている類書を意識しすぎると、意外に忘れがちで、優先度も低くなりがち。しかし経験上、10万部を超えるベストセラーには必須と考えます。

(7)物語があるか?
「なぜ今の時代、なぜその著者が書くのか」。これを突き詰めると、必ず1つの物語ができます。その物語が心に染み渡るものになっているかどうかをチェックします。ピンとくるまで、著者に取材を申し込みます。

 5年以上前に作ったチェックリストですが、今のところはまだ使えそうです。編集(本作り)に限らず、「自分はこんな観点で考えている・確認している」などありましたら、ぜひ教えてください。